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[dbjapan] DBSJ Nwesletter Vol. 8, No. 3 : フランス滞在研究, SIGMOD 2015, ICWSM 2015

  • To: <dbjapan [at] dbsj.org>
  • Subject: [dbjapan] DBSJ Nwesletter Vol. 8, No. 3 : フランス滞在研究, SIGMOD 2015, ICWSM 2015
  • From: SATOH T. <satoh [at] slis.tsukuba.ac.jp>
  • Date: Sat, 1 Aug 2015 14:06:22 +0900
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┃ 日本データベース学会 Newsletter
┃ 2015年8月号 ( Vol. 8, No. 3 )
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梅雨明けとともに一気に猛暑がやって参りましたが、皆様いかがお過ごしでしょ
うか。室内にいても熱中症になる可能性があるとのことで、意識的に水分補給を
心がけていきたいと存じます。

さて本号では、フランスの研究機関での滞在研究の報告から、データベース系の
トップカンファレンスSIGMOD 2015、ウェブとソーシャルメディアの主要カンファ
レンスICWSM2015の参加報告まで、幅広い内容でご寄稿いただきました。主要な
国際会議への投稿を視野に入れて研究に邁進されている若手研究者はもとより、
海外の研究機関に滞在してじっくり研究に取り組もうとされている中堅研究者の
皆様のご参考になれば幸いです。

本号ならびにDBSJ Newsletterに対するご意見あるいは次号以降に期待する内容
についてのご意見がございましたら news-com [at] dbsj.org までお寄せくださ
い。

                                日本データベース学会 電子広報編集委員会
                                
                                
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目次
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1.サバティカルでフランスに滞在して     手塚太郎  筑波大学

2.SIGMOD 2015 で発表および聴講して     三島 健   NTT

3.ICWSM 2015 に参加して                山本修平 学振DC 筑波大学

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■1■ サバティカルでフランスに滞在して   手塚太郎 (筑波大学 准教授)

2014年4月から一年間のサバティカルの機会をいただき、フランスのInstitut de
Recherche de l'Ecole Navaleに滞在してまりました。北西部のブルターニュ地
方に位置し、敷地は海に面しているというとても恵まれた場所にあります。周囲
は研究者と博士課程の院生だけという緊張感に満ちた雰囲気の中で研究に専念す
ることができました。とはいえ日本と違い、昼食は優に2時間かけて食前酒から
デザートまでを堪能し、午後5時になると家に帰ってしまう先生も多いため、こ
れで大丈夫なのだろうかと最初は心配にもなりました。しかしよくよく見ている
と昼食後は5時までに帰るべく、どなたもエンジンが掛かって猛烈な仕事ぶりで
あり、単位時間あたりの生産性は非常に高いのだなと感心した次第です。おかげ
で日本に帰国後も若干は効率よく仕事できるようになったようにも思います。

滞在中は主に受け入れ先のChristophe Claramunt先生と共同研究を行いましたが、
研究所はフランス海軍の管轄下で軍事研究を行っているため、計算機科学の先生
方に加え、信号処理の先生方も多く、時系列データの解析手法などについて多く
学ぶことができました。世界中から集まっている院生はモチベーションも高く、
多くの刺激を受けました。また、各地の大学や研究所を訪ねることもでき、人脈
が広がり、非常に有意義でした。

帰国後は一年間大学の仕事を休んでいた反動で授業や委員会が多く大変なことに
なっていますが、フランスの思い出を胸に精進していきたいと思います。

(手塚太郎  筑波大学 図書館情報メディア系 准教授)

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■2■ SIGMOD 2015 で発表および聴講して   三島健 (NTT)

2015 年 5 月 31 日から 6 月 4 日にかけて、2015 ACM SIGMOD/PODS カンファ
レンスがオーストラリアのメルボルンで開催されました。西岸海洋性気候のため
か、初冬にもかかわらず過ごしやすい気候でした。会場は、メルボルンの中心駅
から歩いて15分程度とアクセスが良いところでした。会議の参加者数は 565 名
とのことでした。来年はサンフランシスコ、再来年はノースカロライナの予定とっ
ています。

今年の SIGMOD は、投稿数 413 件に対して採択数は 106 件、採択率は 25.7 % 
となっており、例年と同程度となりました。採択分野のベスト 3 は、1 位グラ
フ(16%)、2 位データマイニング(13%)、3 位クラウドと並列分散処理(12%)
であり、相変わらずグラフが多いという傾向でした。採択論文のうち 13 件は一
発採択ですが、93 件はリバイスフェーズを経ての採択でした。リバイスフェー
ズを終えても「accept with change」という条件付き採択のような判定になるこ
とがあり、さらなるリバイスを経て採択された論文も多数あったとのことでした。
また、今年の SIGMOD は 4 セッションが並列に行われましたが、来年以降は採
択数にどう影響するか分かりませんが2 セッションに減らすことを検討中とのこ
とでした。

ベストペーパーは“DBSCAN Revisited: Mis-claim, Un-Fixability, and Approximation” 
で、特定状況下で DBSCAN の計算量が爆発してしまうことを指摘し、計算量をデー
タサイズの線形オーダーに下げる手法の提案でした。既存のクラスタリングの手
法を覆す大きな影響があると判断されての受賞のようです。また、人気があった
(ように見えた)発表は、不揮発性メモリであるNVM(Non-Volatile
Memory)をデータベースシステムで有効活用する方法でした。聴講者も多く、活
発な質疑応答がありました。他の会議でもNVMを使った研究が多く発表されてい
ることからも、注目かと思います。この発表は、二次記憶装置とRAMを無くし、
NVMだけからなるデータベースエンジンを三種類作って従来方式と定量的に比較
を行っていました。いずれの場合も従来よりも良い性能を示していました。ただ、
これら三種類は二次記憶装置とRAMを持った時代に考え出されたアーキテクチャ
であり、NVM特有の第四の方式があっても良さそうだと思いました。私の発表で
は、オフラインの質問も含めて実装や実験に関するものであり、実際に動くもの
を作る重要性を改めて感じました。

このような大きな会議では、最新の動向を知るばかりでなく、普段会えない著名
な先生方と議論でき、大きな刺激を得ることができます。今後も参加できるよう
に努力したいと思います。

(三島健  NTT)

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■3■ ICWSM2015に参加して  山本修平 (筑波大学大学院 博士後期課程在学) 

2015年5月26日から29日かけて、イギリスのオックスフォードで開催されたICWSM
(International AAAI Conference on Web and Social Media)に参加し、論文
発表をしてきたので、その報告をさせて頂きます。ICWSMはウェブやソーシャル
メディアを対象とした分析や、手法研究を取り扱う会議です。今年の採択率は19
%(64/343)で、日本から採択された論文は2本でした。また、近い日程で開催
されたWorld WIde Web(WWW2015)から続けて参加された方も何人かいらっしゃ
いました。

オックスフォードは大学都市と言われるだけあり、学生の多い街でした。会議と
大学の試験の日程が重なっていたこともあり、街を歩く学生は正装をしていて、
中々貴重な光景が見れました。オックスフォード駅周辺はショップが並んでいて
人通りも多いですが、5分も歩くと大学や住宅地が並ぶ静かな街でした。緑も多
く、会議の開催されたキャンパスに向かう道中で、野生のリスも見れました。唯
一残念だったのが、映画「ハリー・ポッター」の舞台となった「クライスト・チャー
チ」が改装中で中に入れなかったことです。改装は7月初旬に終わるとのことで
したので、今は観光できると思います。

会議はシングルトラックで開催され、発表が10分、質疑応答が2分で比較的短い
時間での発表でしたが、1日目と2日目の夕方にポスターセッションが設けられて
いました。休憩時間中も、参加者の間で活発な質疑応答がされていました。採択
された論文で扱っているテーマとしては、やはりTwitterを対象とした研究が非
常に多く、位置情報やネットワークなど様々な角度から分析や手法の提案がされ
ていました。また、数種類のSNSの特徴を比較分析した発表も目立ちました。私
は今回、学部4年のときから進めてきた、「Twitterからの実生活情報の抽出」を
テーマに発表しましたが、これまでの発表の中で最も広い会場、多い聴講者でと
ても緊張しましたが、今後の研究の方向性を固める貴重な意見を頂けました。会
議2日目の後半のセッションでは、次々回のICWSM2017をどこで開催するか、各国
の研究者がジョークを混じえてプレゼンをしていました。総じて面白い発表が多
く刺激的で、とても充実した3日間でした。

次回のICWSM2016はドイルのケルンで開催されるとのことです。興味深い論文が
多く集まり、議論も活発な会議ですので、皆様是非参加を検討されてみてはいか
がでしょうか。

(山本修平 筑波大学大学院図書館情報メディア研究科 博士後期課程在学)

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