学会員メーリングリストアーカイブ (2018年)

[dbjapan] DBSJ Newsletter Vol. 10, No. 8: iiWAS2017, IEEE BigData 2017, NTCIR-13, IEEE ISM 2017, インターンシップ体験記

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  • Subject: [dbjapan] DBSJ Newsletter Vol. 10, No. 8: iiWAS2017, IEEE BigData 2017, NTCIR-13, IEEE ISM 2017, インターンシップ体験記
  • From: Shoko Wakamiya <wakamiya [at] is.naist.jp>
  • Date: Thu, 1 Feb 2018 15:45:23 +0900

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┃ 日本データベース学会 Newsletter
┃ 2018年2月号 ( Vol. 10, No. 8 )
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強烈な寒波到来による大雪など,まだまだ厳しい寒さが続いております.インフ
ルエンザも依然として猛威をふるっており,春の訪れが待ち遠しい季節となりま
した.ご多忙の折りではございますが,会員の皆様におかれては,何卒ご自愛の
ほどお願い申し上げます.

本号では,情報統合とWeb アプリケーションに関する国際会議 iiWAS 2017,
および,ビッグデータに関する国際会議 IEEE BigData 2017 の参加報告について
ご寄稿いただきました.また,12月に東京で開催された国際シェアードタスク 
NTCIR-13,および,マルチメディアに関する国際シンポジウム IEEE ISM 2017
の開催報告についてご寄稿いただきました.
さらに,インターンシップの体験記についてもご寄稿いただきましたので,イン
ターンシップを検討されている学生の皆さまの参考になれば幸いです.

多くの読者の皆様におかれましては,DEIM2018 (3/4-6,福井県あわら市)にご
参加されることと存じます.お目にかかれることを楽しみにしております.
 
本号ならびにDBSJ Newsletterに対するご意見あるいは次号以降に期待する内容
についてのご意見がございましたらnews-com [at] dbsj.orgまでお寄せください.
 
                                                           日本データベース学会 電子広報編集委員会
                       (担当編集委員 若宮 翔子)
 
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目次
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1. iiWAS 2017 参加報告
    鈴木 優 奈良先端科学技術大学院大学

2. IEEE BigData 2017 参加報告
    駒水 孝裕 名古屋大学

3. NTCIR-13 開催報告
    加藤 誠 京都大学

4. IEEE ISM 2017 開催報告
    劉 健全 NEC システムプラットフォーム研究所

5. インターンシップ体験記:異分野研究に飛び込んで
    胡 晟 名古屋大学

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■1■ iiWAS 2017 参加報告     鈴木 優(奈良先端科学技術大学院大学)

国際会議iiWAS2017へ参加いたしました.会期は12月4日〜6日で,オーストリア
のザルツブルグで行われ,参加および研究発表を行いました.

iiWAS は情報統合と Web アプリケーションに関係するカンファレンスです.同
時に MoMMと呼ばれる,モバイルコンピューティングに関係するカンファレン
スが行われています.日本からの参加者が多い会議であり,中東やアフリカ,東
南アジアなどの参加者も多い,国際色豊かな会議です.SNOW と呼ばれる萌芽期
の論文発表もあり,比較的発展途上の,今後の進展が期待される研究が多い印象
です.今年も多くの日本人研究者が参加・研究発表されていました

私は甲南大学の大原さん(学生),灘本先生の共同研究についての研究成果を
iiWASにおいて発表し,IJWIS Journal Best Paper Award を受賞しました.この
受賞は,大原さんおよび灘本先生のご尽力を頂かなければ成し得なかったと思っ
ています.大変感謝いたします.
内容としては,Twitter の "While you are away.." という機能の同等物を高性能
化したという研究になります.Twitter では様々な投稿が行われていますが,常
に読むことはできないので見逃したツイートが多数あります.これら見逃したツ
イートを一般的な方法で要約してしまうと,重要だけれどもマイナーな,ほとん
ど投稿されていないトピックに関するツイートは無視されてしまう可能性があり
ます.本研究では,見逃したツイートをWikipediaのトピック構造にマッピング
することによって,容易に見逃しツイートを要約し,マイナーな情報も見逃さず
に閲覧することができる方法の開発を行い,Webインタフェースの実装を行いま
した.

ザルツブルグはオーストリアにおける代表的な都市の一つで,モーツァルトの生
まれた場所としても知られています.モーツァルトの生家を含む都市全体が歴史
を感じるものであり,ユネスコ世界文化遺産にも指定されているようです.バン
ケットがザルツブルグ城で行われたり,城下町ではクリスマスマーケットが行わ
れるなど,ザルツブルグの魅力を十分に堪能できました.
ただ,カンガルーに会うことはできませんでした.

次回のiiWASはインドネシアのジョグジャカルタで,11月中旬に行われます.
ジョグジャカルタは現在のインドネシアの首都ジャカルタとは異なる場所で,日
本でいうと昔の首都であった京都に相当する場所のようです.ウェブやモバイル
コンピューティングに関係するご研究をされている方は,ぜひ投稿されてみては
いかがでしょうか.

(鈴木 優 奈良先端科学技術大学院大学 特任准教授)

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■2■ IEEE BigData 2017 参加報告         駒水 孝裕(名古屋大学)

2017年12月11日から12月14日にアメリカマサチューセッツ州ボストンで開催さ
れた「IEEE BigData 2017」に参加しました.ビッグデータを中心の話題とする
会議としては最大級の国際会議で,様々な分野から注目さております.参加者数
の統計は公開されておりませんが,1000名近くの参加があったように見受けられ,
注目の高さが伺えました.論文の投稿数は442本,採択数はロングペーパーが79
本(採択率:17.9%),ショートペーパーが87本(採択率:19.7%)でした.日
本からは,ロングペーパーに3本,ショートペーパーに4本の採択がありました.
昨年同様にワークショップの数が非常に多い会議で今年は40件のワークショップ
が開催されました.昨年の28件から12件の増加でワークショップ開催のしやすさ
が売りのひとつかもしれません.

会議のスケジュールは 12月11日がワークショップ日で,12月12日から12月14
にかけて本会議を行う構成になっています.キーノートは本会議の毎朝二件ずつ
合計六件ありました.初日の二件は human-in-the-loop に関わる話で,二日目は
表現学習と強化学習に関する話,三日目はオープンデータに関する話,と多岐に
渡り知見を広げることに役立つ構成となっていました.本会議はセッションが6-
10パラレルで行われたにも関わらず,参加者が多くいっぱいになっている部屋が
多かったように見受けられました.いくつか見たセッションの印象としては,理
論やシステムに関する論文からアプリケーションに関する論文などビッグデータ
に関係する様々な種類の論文が発表されていました.

Best Paper award は "A Semantics-Aware Storage Framework for Scalable 
Processing of Knowledge Graphs on Hadoop" で,Student Best Paper awardは 
"Making Caches Work for Graph Analytics" でした.ビッグデータの会議らしく
高速化に関する研究が優秀論文に選ばれていました.前者はKnowledge Graph 
を処理する際のストレージ効率化の話題で,後者はグラフ処理 (e.g., PageRank)
をキャッシュ効率を良くすることによる高速化の話題でした.

私は今回の会議では,筑波大の森嶋先生がチェアーをされている HMData と
NTTの竹内さんがチェアーをされている IWSC の二つのワークショップで発表
を行いました.全体の参加者が多いこともあり,ワークショップに発表・聴講さ
れるかたもそこそこおり,活発な議論ができていたと思います.ワークショップ
にはいくらかバジェットが与えられており,その用途はワークショップに任され
ています.HMData はキーノートスピーカを招待するために使用し,IWSC はワ
ークショップバンケットに使用したようです.HMData ではクラウドソーシング
の有名研究者である Panos Ipeirotis 氏 (NYU Stern School of Business) による
キーノートがありました.

全体の所感としましては,IEEE BigData は参加者も多く,様々な分野から参加
する人が多いので,普段見かけないような人と会うことができると思います.次
回も同時期にアメリカ(おそらく西海岸)で行われますので,是非投稿をご検討
いただければと思います.

(駒水 孝裕 名古屋大学 助教)

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■3■ NTCIR-13 開催報告               加藤 誠(京都大学)

NTCIR は,タスクや評価技術,知見などをコミュニティ内で共有し,情報検索や
情報要約,情報抽出,質問応答などの情報アクセス技術の発展を促進するプロジ
ェクトです.第13回目のNTCIR (NTCIR-13) では,多岐にわたる9つのタスクが運
営され,2017年12月5日〜8日の4日間,国立情報学研究所にて,それぞれのタス
ク運営者とタスク参加者の成果報告の場として,NTCIR-13 Conference が開催さ
れました.本稿では,NTCIR-13 と NTCIR-13 Conference の概要,および,運営
された9つのタスクの概要,NTCIR-14 の概要をそれぞれ紹介いたします.

== NTCIR-13 および NTCIR-13 Conference の概要 ==
NTCIR-13 では,Lifelog-2, MedWeb, OpenLiveQ, QALab-3, STC-2, AKG, ECA, 
NAILS, WWW の9つのタスクが提案されました.前回の NTCIR-12 から多くのタ
スクが刷新され,全体的には下記の3つの特徴がありました:
1.テキストとユーザ意図の深い理解を通した複雑な質問やクエリへの回答
2.大量の「人」に関わるデータからの知識マイニング
3.ビッグデータから抽出された知識の知的な情報アクセス技術への応用
2016年7月からタスク運営が開始され,2016年8月24日にキックオフイベント,
2016年12月に参加登録締切,2017年9月に評価結果の返却,というスケジュール
で進行いたしました.合計65研究グループ,8ヵ国の研究者が9タスクのいずれか
に参加と投稿を行い,82本の論文が NTCIR-13 Conference にて発表されました.
NTCIR-13 Conferenceには207名が参加し,タスク運営者によるタスク概要の報
告,Omar Alonso 博士によるクラウドソーシングに関する招待講演,Fredric C 
Gey 教授と Douglas W. Oard 教授による NTCIR 20周年記念講演,Ian Soboroff 
博士によるTREC(アメリカ版NTCIR)報告,Nicola Ferro 教授によるCLEF(ヨ
ーロッパ版NTCIR)報告,各タスクに分かれての研究発表およびポスター発表が
行われました.

== NTCIR-13 タスク ==
- Lifelog-2: Personal Lifelog Organisation & Retrieval Task -
Lifelog-2タスクは,ウェアラブルカメラによって45秒に1度撮影される画像,音
楽試聴履歴,心拍数や血圧などの生体情報,位置情報やPCでの操作履歴などの
ライフログデータをデータセットとし,ある行動をクエリとした検索(e.g. 台所
にいたのはいつ?)やイベントごとにライフログデータを分割するタスクなどが
設定されていました.

- MedWeb: Medical Natural Language Processing for Web Document -
MedWebタスクでは,ソーシャルネットワーキングサービス(e.g. Twitter)の中
から8つの病状の罹患を示唆する投稿を発見するというタスクが設定されていま
した.対象となった症状は,インフルエンザや風邪,花粉症,下痢,頭痛などの
症状で,日本語・英語・中国語ののべ3カ国語で用意されたデータセットが用い
られました.

- OpenLiveQ: Open Live Test for Question Retrieval -
OpenLiveQタスクは,Yahoo!知恵袋のデータを対象にした質問検索システムを構
築するタスクです.データセットとしてYahoo!知恵袋の質問,回答,クリックの
統計情報などが利用可能で,構築された検索システムは実際のYahoo!知恵袋ユー
ザによるフィードバックで評価されました.

- QALab-3: QA Lab for Entrance Exam -
QALab-3タスクは,センター試験および大学入試問題の歴史科目の問題に自動回
答するタスクです.データセットとして,高校の歴史教科書やWikipedia,イベン
トオントロジーなどが利用可能でした.多肢選択問題,記述問題,論述問題の3
種類の問題が用意されており,論述問題の評価には専門家による採点や要約のた
めの評価指標が応用されていました.

- STC-2: Short Text Conversation -
STC-2タスクでは,対話システム実現のために,マイクロブログやニュース記事
へのコメントが入力として与えられた時に,適切な回答を返すというタスクが設
定されていました.中国語と日本語のタスクが用意されており,中国語ではWei-
boの投稿に対する回答生成,日本語ではYahoo!ニュースのコメントに対する回答
生成が行われました.

- AKG: Actionable Knowledge Graph -
AKGタスクは,ユーザの活動(購買や予約,旅行など)を支援するためのナレッ
ジグラフ(Web検索結果に含まれる,エンティティの要約情報)を作成すること
を目的としたタスクです.このタスクでは,あるエンティティに関わる活動を抽
出するタスクとある活動に対して重要な情報をランキングするタスクが設定され
ていました.

- ECA: Emotion Cause Analysis -
ECAタスクでは,ニュース記事から怒りや悲しみなどの感情を抽出するタスクと,
それらの感情を引き起こした原因を抽出するタスクが設定されていました.英語
と中国語のニュースコーパスがデータセットとして配布され,そのうち3,000件の
文書に対してラベル付けが行われていました.

- NAILS: Neurally Augmented Image Labelling Strategies -
NAILSタスクは,脳波を利用して画像に対する高速なラベル付けの実現を目標と
するタスクです.10名の実験協力者に対して正解画像(e.g. 飛行機)と不正解画
像(e.g. 車)を1秒間に6枚の速さで提示し,その際に記録された脳波に基づいて
どの画像が正解画像であったかを推定するというタスクとなっています.

- WWW: We Want Web -
WWWタスクは伝統的なアドホック検索タスクであり,与えられた検索クエリに
対して順位付けされた文書を返却するというタスクです.検索対象としてはWeb
文書が用いられ,検索ユーザの行動データなどが検索システム構築のために配布
されました.NTCIR-13を含め3回のタスク運営が予定されており,Web検索シス
テムの進歩を継続的に計測することを目指しています.

== NTCIR-14 タスク ==
NTCIR-14の採択タスクはすでに公開されており,以下の6タスクの運営が開始さ
れています:
- Personal Lifelog Organisation & Retrieval (Lifelog-3)
- Open Live Test for Question Retrieval (OpenLiveQ-2)
- QA Lab for Politics Minutes (QA Lab-4)
- Short Text Conversation (STC-3)
- We Want Web (WWW-2)
- CLEF/NTCIR/TREC REproducibility (CENTRE)
NTCIR-14 のキックオフイベントは2018年3月20日に開催予定で,これらのタス
クの紹介が行われる予定です.情報アクセス技術に関心がありこれらのタスクに
関連する研究分野の方はもちろん,研究を始めたばかりの方やデータの準備や評
価に煩わされることなく手法の提案に集中したい方,タスク参加を通して最新の
情報アクセス技術を実践したい方などは,ぜひキックオフイベント,NTCIR-14 
への参加登録(2018年5月15日を予定)をご検討ください.

(加藤 誠 京都大学 特定講師)

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■4■ IEEE ISM 2017 開催報告 劉 健全(NEC システムプラットフォーム研究所)

ISM とは
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ISM は International Symposium on Multimedia の略であり,マルチメディア分野
では ACM Multimedia の次に歴史の最も長い IEEE 主催の国際会議です.今年の 
ISM 2017 は第 19 回を迎え,2017年12月11日から13日の間に台湾の台中市で開
催されました.IEEE Fellow 並びにジェネラルチェアである Dick Bulterman 教授
(オランダ), Mohan Kankanhalli 教授 (シンガポール), Phillip C.-Y. Sheu 教授 (アメ
リカ) とJeffrey J.P. Tsai 教授 (台湾) からのご依頼とご指導を受け,筆者がプログ
ラム共同委員長を務めさせて頂きました.以下,主として主催者の立場から ISM
2017 を報告します.

ISM 2017 の見所
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ISM 2017 は過去に比べ論文の質が最高となったとも言えます.今年の会議では,
41ヵ国・地域から合計139本の有効な論文投稿を対象として,過去より最も厳し
い査読プロセスを経て32本の論文をフルペーパーとして採択しました.採択率は
23%であり過去十年間の最低点並みとなりました.このようなトップ国際会議並
みの低採択率を保証するには,厳正な査読プロセスが欠かせません.今年の査読
においては,全ての論文が3件以上の詳細な査読コメントを保証しつつ,106本の
論文が4件以上の査読コメントを得ることもでき,最多6件の査読コメントを得た
論文も少なくありません.最終的には,ジェネラルチェアとプログラムチェアが
全員集まり,Skype会議を10時間以上に渡って全ての査読レポートを1件ずつ確認
して,クオリティの低いレビューを除いた上で,32件の採択で合意を取りました.
全員それぞれ異なるタイムゾーンだったため,10時間以上に渡って徹夜した人も
居れば,早朝からSkype 会議に参加されるチェアもいました.その苦労は論文投
稿の締め切り直前の辛さに近いと言えるでしょう.今回の PC Co-chair のお仕事
は私にとって非常に貴重な学会活動経験になったと思っています.

ISM 2017 のプログラムは,キーノートスピーチ4件と,フルペーパー6セッション,
ショートペーパー6セッション,デモ2セッション,ポスター2セッション,併設ワ
ークショップ6件から構成されます.特にフルペーパーの口頭発表セッションは全
てシングルで行い,参加者全員が聴講できるようにプログラムの編成に工夫を加
えました.これにより大勢の参加者が集まり,厳選したフルペーパーの価値を聴
講者に最大に共有できたと考えられます.口頭発表に加え,全てのフルペーパー
とショートペーパーはポスター発表を求められ,限られた口頭発表時間の補足と
して,著者らは会議参加者とたっぷり議論することができました.また,昨年の
ISM 2016から始めたポリシーを引き継ぎ,最優秀論文賞および最優秀学生論文賞
は「Best Paper Selection」というセッションにてアワード審査委員より口頭発表
と論文の質を含めた総合評価で選出し,当日のバンクエットで結果発表に伴って
表彰を行いました.このようなオンサイトの最優秀争いは発表者と聴講者にとっ
て非常に良い刺激になったと思います.

ISM 2017 の概況
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ISM 2017 の参加者数は合計150名前後のうち,日本からの参加者は約20名でした.
人数としては例年並みだったと思いますが,招待講演者などを含め,会場でお会
いした先生方の中には IEEE Fellow の方も 10人以上いらっしゃったことは私に
とって一番印象的だったのです.言い換えれば,これらの参加者は ISM が歴史の
古い非常に重要なマルチメディア国際会議の1つであることを示してくれたと思い
ます.

また,41ヵ国・地域から全ての投稿件数の国分布を見ると,国別投稿件数のトッ
プ3は,中国 (約30件), 日本 (約17件), 台湾 (14件)で,国別採択件数のトップ3は,
中国 (約12件), 米国 (約10件), 日本 (約9件)でした.国別の投稿・採択の比率をも
う少し深堀りすると,実は,ベルギーやドイツ,チェコ,イタリア,オランダな
どの欧州諸国からの投稿はほぼ全て採択されるという面白い結果が明らかになり
ました.これを根拠として欧州圏から投稿してきた論文のクオリティが非常に高
かったとも言えるでしょう.

さらに,投稿した研究トピックの傾向を確認して見ると,今のAIで話題になった
深層学習やビッグデータ,メディアセマンティックに関するキーワードが浮上し
つつ,映像や画像・音声,物体認識などの伝統的なマルチメディア分野の研究ト
ピックは依然活発に行われているように感じています.

ISM 2017 の新しい試み
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ISM 2017 では,筆者から提案していくつかの新しい試みが導入され,主催者
してはいろいろ心配していましたが,会場で出会った参加者から多くの褒め言葉
を頂いたことで,結果的には概ね成功に至ったと認識しています.以下に主な試
みを挙げます.

(A) 例年の並列セッションで行ったフルペーパーの口頭発表を取りやめ,採択さ
れた32件の論文を6つの単一セッションで実施しました.効果としては,参加者
は聴講したい発表を選ぶ悩みがなくなり,全員が1つの大きな部屋に集まり,と
ても盛況でした.発表者(特に学生)にとって,約150人の聴講者の前で堂々と
発表するという盛大な場面は今後の研究生活へ非常に良い刺激を与えたのではな
いかと思います.

(B) 口頭発表に加え,採択されたフルペーパーとショートペーパーにポスター発
表の場を設けました.口頭発表で限られた質疑応答時間の補いとして,ポスター
を見ながらより活発な議論を交わすことができました.これは過去にない施策だ
ったため,追加のポスター発表より有益な議論が得られ,多くの参加者から好評
を寄せられました.

むすび
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ISM 2017 はジェネラルチェアのご指導を受け,アジア2名・ヨーロッパ2名のプ
ログラム Co-chair 体制で論文の質を保証しつつ,ローカルオーガナイザの強力な
支援をもって無事に円満開催を終えました.本開催報告では,組織委員会に入っ
て頂いた個々のオーガナイザ・サポータに触れることができないため,下記のペ
ージに詳細を掲載していますのでご参照頂ければと思います.

このほか,日本から多くの方々に投稿して頂いたことと,台湾までISM 2017に
参加して頂いたことに対して,特に日本データベース学会の皆様,並びにマルチ
メディアに関わる日本の皆様に改めて心より深く感謝を申し上げます.皆様から
のサポートがなければISM 2017 の成功開催はできなかったと思っております.

ISM 2018 はアクセスの利便性やローカルオーガナイザの強力なサポートを重
されたようで,再び台湾での開催となりそうですが,筆者はISM 2017で得られ
た良い経験を伝授するためにアドバイザ的な立場でもう一度組織委員会に入らせ
ていただくことになりました.今後,ISM の開催を日本へ誘致できるように,
ぜひとも皆様からのご投稿・ご参加を引き続きよろしくお願いします.

 (劉 健全 NEC システムプラットフォーム研究所 主任)

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■5■ インターンシップ体験記:異分野研究に飛び込んで 胡 晟(名古屋大学)

私は7月から12月まで,NECシステムプラットフォーム研究所のインターンシ
ップに参加し,深層学習技術を用いた映像検索技術に取り組みました.大学では
データベースや情報検索について研究しており,特にテキストデータ分野の索引
構成や問い合わせ処理について取り組んでいます.具体的には,マップアプリに
おける検索キーワードの自動補完アルゴリズムを研究しています.私が所属する
名古屋大学のリーディング大学院プログラムには,大手企業へのインターン支援
プロジェクトがあり,貴重な機会だと思い参加しました.また,それとは別に純
粋に日本企業の職場の雰囲気を体験してみたいという気持ちもありました.

インターンでは,大学の授業ではあまり触れたことがない深層学習技術を用いる
必要がありました.そこで,大量の文献をサーベイして物体認識・追跡などの分
野の進展を把握するとともに,深層学習技術の実装を通じて知識や理解を深める
ことができました.このような異分野の視点から新しいアイディアを生む経験は
とても貴重な体験でした.また,インターン期間中に生み出した成果を研究会で
発表するだけでなく,特許を出願することも経験することができました.

インターン期間中,私はコンピュータビジョンやマルチメディア分野の論文を数
多く読み,これらの知識を消化して,全部自分のものにするのがとても楽しかっ
たです.コンピュータサイエンスに対する全体的な理解が高まり,視野が非常に
広がりました.また,ほかのインターン生が真面目に研究を取り組む姿が一番印
象的でした.優秀な学生ばかりで同じ空間に集まって切磋琢磨ができてとてもエ
ンジョイできる環境でした.私が会ったインターン生は,香港からの学生が一番
多く,インド,ブラジル,オランダから来ている人もいました.

オフィスは,同じ部署の人が近くに座る座席配置で,ディスカッションをしやす
かったです.オフィスのすぐ隣がオープンスペースになっており,少し騒がしか
ったですが,一方で,コミュニケーションはとりやすかったです.毎日オフィス
に来て仕事始めるというサイクルが自然なライフスタイルになって働きやすかっ
たです.

インターンシップを終えて,事象を冷静に分析する能力の成長を感じました.紛
らわしい情報から正しいものを見分ける能力も成長しました.企業での実体験を
通じて,企業側がどのような形で社会に貢献をしているかなどを理解しました.
この経験は企業でしか学べないことなので一番貴重な経験だと思います.おまけ
として,インターン中滞在していたホテルの調理器具を使って,料理の腕も上げ
ました.

自分の専門以外の研究環境に飛び込むのは勇気が必要だと思います.実際に現場
に行ってみれば概ねのことは何とかなります.もしインターンに行くことが決ま
ったら,できる限り大学の研究タスクを持ち込まずに集中できるようにした方が
いいと思います.また,ほかのインターン生と友情を築くこともできました.ほ
かの国からの学生と一緒にコーヒーを飲みながら,お互いの文化を交流できるの
も面白い思い出でした.

(胡 晟 名古屋大学 石川研究室 博士後期2年)
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若宮 翔子
奈良先端科学技術大学院大学 研究推進機構/情報科学研究科
ソーシャル・コンピューティング研究室 博士研究員
Email: wakamiya [at] is.naist.jp TEL: 0743-72-6053 FAX: 0743-72-6065

Shoko Wakamiya
Postdoctoral researcher, Social Computing Lab., 
Institute for Research Initiatives / Graduate School of Information Science, 
Nara Institute of Science and Technology (NAIST), Japan
Email: wakamiya [at] is.naist.jp TEL: +81-743-72-6053  FAX: +81-743-72-6065