学会員メーリングリストアーカイブ (2014年)

DBSJ Newsletter Vol. 6, No. 6: WebDB Forum 2013, SocInfo2013, iiWAS2013&MoMM2013, AIRS2013


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┃ 日本データベース学会 Newsletter
┃ 2014年2月号 ( Vol. 6, No. 6 )
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暦の上では立春を迎えようとしている折ですが,まだまだしんしんと冷える
日々が続いております.学生は卒業に向けて必死のパッチで働いているもの
と思われますが,体調管理にはくれぐれもご注意いただきたいと思います.
インフルエンザも流行してといると耳にしますし…….

さて本号では,11月に開催されました,DB系,Web系における国内唯一の査読
付き会議であるWebDB Forum 2013と,同会場にて同時に開催されておりまし
た国際会議SocInfo 2013の開催報告をご寄稿いただきました.国際会議報告
としては,iiWAS 2013とAIRS 2013についてご寄稿いただきました.いずれも
盛りだくさんの内容となっております.

本号ならびにDBSJ Newsletterに対するご意見,あるいは次号以降に期待する
内容についてのご意見がございましたら,news-com [at] dbsj.org までお寄せく
ださい.

                             日本データベース学会 電子広報編集委員会

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目次
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1. WebDB Forum 2013 開催報告
    田島敬史 京都大学

2. SocInfo2013 開催報告
    Adam Jatowt 京都大学

3. iiWAS2013&MoMM2013に参加して
    吉江修 早稲田大学

4. AIRS2013に参加して
    佃洸摂 京都大学

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■1■ WebDB Forum 2013 開催報告             田島敬史 (京都大学 教授)

第6回 Webとデータベースに関するフォーラム 2013
日時:2013年11月27〜28日
場所:京都大学・百周年時計台記念館
URL:http://db-event.jpn.org/webdbf2013/
主催:情報処理学会データベースシステム研究会
   日本データベース学会
   電子情報通信学会 データ工学研究専門委員会
協賛企業(プラチナ):株式会社リクルートテクノロジーズ
    (ゴールド):楽天株式会社 楽天技術研究所
           Bashoジャパン株式会社
    (シルバー):サイボウズ株式会社
           チームラボ株式会社
           サイジニア株式会社
           株式会社サイバーエージェント
           株式会社日立製作所
           株式会社ネクスト
           (株)東芝
           Yahoo! JAPAN
    (ブロンズ):デンソーアイティーラボラトリ
           株式会社 ビーコンIT
           SRA OSS, Inc.
           日本アイ・ビー・エム株式会社
           株式会社きざしカンパニー
協賛:ACM SIGMOD日本支部
   日本MySQLユーザ会
   ARG Webインテリジェンスとインタラクション研究会
   Firebird日本ユーザ会

【報告者:実行副委員長 京都大学 田島敬史】

2013年11月27日から28日の二日間,京都大学において,WebDB Forum 2013 が
開催されました.WebDB Forum は,

1.Web系,DB系における国内唯一の査読付き会議であること,
2.企業,アカデミア,OSSコミュニティにまたがる交流を目的の一つとして
おり,協賛企業・団体からの技術報告やポスター展示等が行われること

の二点を特徴としています.企業関係者との交流を目的の一つとしているた
め,これまで主に東京で開催されていますが,2013年は,同時期に京都大学
で行われた国際会議 SocInfo 2013 と連携し,京都での開催となりました.
例年,東京の企業からの参加者が多いことから,参加者の大幅減も覚悟して
いましたが,252名(一般82名,学生96名,スポンサー・協賛団体枠66名,招
待者8名)と,東京開催だった前年の人数よりは減ったものの,予想を超える
多くの方にご参加いただくことができました.これが,WebDB Forum という
イベントが企業コミュニティにも十分定着したことを示しているのか,それ
とも,開催地はそれほど影響しないということなのか,あるいは,広報が良
かったのか,はたまた,京都という開催地が比較的好評だったということな
のかは,直ちには判断できないのですが,今後のWebDB Forum の運営の上で
ご参考になればと思います.

プログラム構成は,おおむね,ここ数年の WebDB Forum を踏襲し,招待講演
1件,招待講演者の講演とパネル討論からなる特別セッション2件,一般論文
発表,協賛企業による技術報告,一般論文や協賛企業・団体のポスター展示
を兼ねて行うレセプション,協賛企業による常設展示というものでした.

また,今回も,例年の WebDB Forum 同様,プログラム委員会が選定する論文
賞と優秀な発表を行った学生に与えられる学生奨励賞に加え,各協賛企業が
選定する企業賞の表彰を行いました.私の個人的な意見になりますが,企業
からの技術報告と,この企業賞があるところが,WebDB Forum の最も特徴的
なところではないかと思います.企業賞に関しては,必ずしも賞に選ばれな
くても,WebDB Forum で発表することによって,企業からの選考委員の方々
に研究を見ていただく機会を得ることになりますので,企業で応用可能な研
究を指向している研究者の方にとっては,貴重な機会となるものと思います.
ご興味をお持ちの方は,是非,次回の WebDB Forum への投稿をご検討くださ
い.

最後になりましたが,ご協賛いただきました数多くの企業に,あらためて御
礼申し上げます.また,フォーラムの運営にご尽力いただきました実行委員,
プログラム委員の皆様,そして,全ての講演者,参加者の皆様にもこの場を
借りて,御礼申し上げます.

(田島敬史  京都大学 国際高等教育院 教授)

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■2■ SocInfo2013 開催報告        Adam Jatowt (京都大学 特定准教授)

The 5th International Conference on Social Informatics (SocInfo2013)
has been held at Kyoto University, Clock Tower from November 25th to
27th, 2013 (http://www.socinfo2013.org). SocInfo is an
interdisciplinary venue for researchers from computer science,
informatics, social sciences, and management sciences. This year,
SocInfo 2013 was co-located with WebDB Forum 2013. As a PC co-chair,
I was responsible for collecting and reviewing papers, interacting
with other organizers and keynote speakers, as well as, managing the
process of selecting best papers. It was a novel kind of experience
for me, since SocInfo conference has a highly inter-disciplinary
character bridging social and computer sciences.

We had a chance to listen to keynote talks by Yoshiaki Hashimoto
from the University of Tokyo, Paul Resnick from the University of
Michigan, and Irwin King from the Chinese University of Hong Kong.
Professor Hashimoto outlined recent trends related to watching TV and
using Internet in Japan based on surveys conducted on over thousand
respondents. According to his findings, the time spent on watching TV
as well as on reading traditional, print newspapers has decreased,
while the time spent using Internet and, in particular, mobile
Internet has increased over the last years across most of the age
groups. Furthermore, younger people become less interested in
politics and events happening in the world, while spending more time
on social communication using the Internet. Paul Resnick discussed
the issues related to political polarization and the exposure to
political opinions in the context of recommender systems. Finally,
in the last keynote Irwin King talked about the interplay of Social
Computing and Big Data focusing on social and location
recommendations that can be used for a wide-range of applications
and services in the era of Big Data. This keynote was shared
with WebDB Forum 2013 so both the attendants of SocInfo2013 and WebDB
Forum could listen to the talk.

Two best paper awards were given to "Follow My Friends This Friday!
An Analysis of Human-generated Friendship Recommendations" authored
by Ruth Garcia Gavilanes, Neil O'Hare, Luca Maria Aiello and
Alejandro Jaimes and to the paper: "Automatic Thematic Content
Analysis: Finding Frames in News" by Daan Odijk, Bjorn Burscher,
Rens Vliegenthart and Maarten de Rijke. The first paper described
the results of large scale study of human-generated friendship
recommendations in Twitter. The second paper introduced automatic
classification of news according to the four generic news frames:
conflict, human interest, economic consequences, and morality, which
define the perspective or central organizing ideas, of news articles.

SocInfo 2013 included also three satellite events: "Workshop of
Quality, Motivation and Coordination of Open Collaboration",
"International Workshop on Histoinformatics" which was co-organized
by me, and a tutorial entitled: "Towards a Spatial and Temporal
Representation of Social Processes" given by Christophe Claramunt.
As for the statistics, the conference received 103 submissions of
which 94 were full paper submissions and 9 demonstration paper
submissions. After review process (with an average of 3.63 reviews
per paper) 23 full-length papers, 15 short papers, and three demo
papers were accepted. More than 100 participants attended the
conference; many of them came from abroad.

The next edition of the conference will be organized in Barcelona
(http://socinfo2014.org/) from Nov. 10th - 13th, 2014 and is going
to be hosted by Yahoo! Labs.

(Adam Jatowt  京都大学 大学院情報学研究科 特定准教授)

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■3■ iiWAS2013&MoMM2013に参加して         吉江修 (早稲田大学 教授)

「国際会議のために我々が海外に出かけるのではなく,ここインドネシアで
国際会議を開き,世界中から人を呼ぼう」.当時Gadjah Mada大学に籍を置き
Ph.D.の取得を目指していたIsmail Khalilと,彼のadvisorでシンガポール国
立大学准教授Stephane Bressanが辿り着いたアイデアであった.15年ほど前
のインドネシアの大学人にとって,他国で開かれる国際会議に参加すること
は,旅費その他の制約から容易なことではなかった.しかし,インドネシア
の学術面でのレベルアップを果たしたいと願う二人の思いが,冒頭のような
言葉に結びついたのである.こうして,1999年に第1回International
Workshop on Information Integration and Web-based Applications &
Services(iiWAS)がインドネシアのYogyakartaで開かれた.招待講演9件,
一般講演10件から成る小さな会議であったが,周辺大学からも聴衆が集まり,
熱心な眼差しで講演に聴き入る姿が印象的だった.以来,Workshopは
Conferenceと名を変え,インドネシアだけでなく,オーストリア,マレーシ
ア,フランス,ベトナムでも開催され,今回で15回目を数えるれっきとした
国際会議に育った.会議のテーマは当初からWeb上のデータ統合やサービスを
扱ったもので,時とともにマルチメディア,モバイルといったキーワードが
強調されるようになり,その関連分野が別の会議MoMM(International
Conference on Advances in Mobile Computing & Multimedia)として独立す
る等の出来事はあったが(両会議はこれまで併催されてきた),現在まで変
わらず最先端の研究内容に出会える場となっていることは,当時の二人の先
見性を示すものだと思う.

さて,iiWAS2013とMoMM2013は2013年12月2日から3日間,オーストリアのウィ
ーンで開かれた.会場は,ドナウ川の近くにあるthe University of Applied
Sciences Technikum Wien.都会型の大学でキャンパスらしいスペースがなく,
校舎だけが街並みに同化されて建っている.全部で203件の研究発表が58セッ
ションに分けて行われた.1日あたり平均約19セッションであるが,1セッシ
ョンあたりの件数を抑えてあるので,興味のある発表を聴き逃すことなく,
集中的な議論をするためには適正規模のように思う.48か国,164機関からの
参加者219名のうち,日本からの参加者数は35名であった.発表はいずれも,
1件あたり3名以上の査読者による30.2%(iiWAS,MoMMともに)の採択率をク
リヤした研究に関してである.そのような研究発表を聴いた後に,必要なら
ば発表者に話しかけて十分なコミュニケーションがとれるのは,1セッション
に含まれる発表件数,コーヒーブレークの取り方を含め,研究者間の交流に
重点をおいた会議だからであろう.優秀な研究には賞が贈られるが,iiWASと
MoMMとを合わせた7つの賞のうち,最優秀学生賞は,日本人が受賞した.また,
例年招待講演は興味深いものが多いが,今年の6件
「Interoperability and Semantics - a reoccurring Issue?」
「New Technologies: We have seen nothing yet」
「Recent Studies in Privacy Preservation」
「NoSQL databases - no panacea for Big Data processing」
「Ameliorating Music Recommendation」
「Mobile Mobility: The Road User Information Systems of the Future」
も期待を裏切らなかった.オープニング,クロージング,welcome reception,
conference dinnerを含め,全体的によくオーガナイズされた会議という印象
を受けた.会議のproceedingsが,ACM International Conference
Proceedings Seriesから発刊されること,また会議終了後に国際ジャーナル
への投稿が準備されていることも,投稿者にとって嬉しい点である.

12月のウィーンは寒かった.しかし,訪れるには最高の時期とも言える.会
場での一日が終わった後,トラムと地下鉄をうまく使って繁華街に出れば,
度々クリスマスマーケットの光景に出会うことができた.気軽な気分でサロ
ンコンサートを聴くもよし,何しろここは音楽の都である.料理では,ウィ
ーナーシュニッツェル(仔牛のカツレツ),ターフェルシュビッツ(ゆで牛
肉)等が有名だが,私にとっての大きな収穫は,オーストリアの代表的な菓
子であるザッハートルテを,双璧と言われるホテルザッハーとデメルの両所
で食べ比べできたことだった….

iiWAS2014は2014年12月4日〜6日,MoMM2014は11月24日〜26日に,それぞれベ
トナムと台湾で開催される予定である.帰国の途につく私に,Ismailが「近
い将来,日本でiiWASを開きたい」と話してくれた.

(吉江修  早稲田大学 大学院情報生産システム研究科 教授)

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■4■ AIRS2013に参加して             佃洸摂 (京都大学 博士後期課程)

2013年12月9日から11日に,シンガポールで開催されたAIRS2013に参加しまし
た.AIRSはAsia Information Retrieval Societiesの略称であることからも
わかるように,情報検索に関する研究が主なトピックです.総投稿数は109本
で,27本の口頭発表と18本のポスター発表が採択されました.採択論文のう
ち7本が日本からの投稿であり,中国の9本に次いで多い本数でした.

会場となったRendezvous Grand Hotelはシンガポールの中心地からほど近く,
観光名所のひとつであるマーライオンにも徒歩で行くことのできる環境でし
た.そのような環境の中で,会議は3日間とも朝から夕方まで開催されました.
口頭発表はすべてシングルセッションで行われたため,いずれの発表でも聴
衆の数が多く,質疑等も活発に行われていました.

近年のこの分野での国際会議では,ソーシャルネットワーク系の論文が多く
発表される傾向があるように思いますが,AIRS2013では会議の名前の通り,
検索モデルや検索の評価指標に関するトピックが多いという印象を受けまし
た.Best Paperを受賞した「A Collaborative Document Ranking Model for
a Multi-Faceted Search」は検索モデルに関する発表であり,参加者の投票
によって決まるBest Oral Presentationを受賞した「Seven Numeric
Properties of Effectiveness Metrics」は検索指標に関する発表であったこ
ともこの会議の特徴を反映していると思います.

AIRS2013では私も1件の口頭発表をする機会を頂きました.研究内容は検索結
果の多様化に関するものです.検索結果の多様化に関する研究は多くの研究
者によって行われてきましたが,私の研究ではクエリに関する各サブトピッ
クの検索意図(InformationalやNavigational)を考慮して検索結果の多様化
の手法を提案したことが新しい点です.サブトピックがInformationalな意図
を持っていれば,そのサブトピックに関するページは多様化された検索結果
中に複数ページ含まれても良いが,サブトピックがNavigationalな意図を持
っていれば,そのサブトピックに関するページは多様化された検索結果中に
1ページだけ含まれるようにすることでより適切な多様化結果を求めることを
目的としています.この研究は私がMicrosoft Research Asia(MSRA)でイン
ターンをしていた際に行った研究であり,MSRAでこのテーマについて共に研
究していた方々とも久しぶりに再会できました.

会議中のアナウンスによれば,2014年のAIRSの開催地の候補は中国かマレー
シアで,恐らくマレーシアになるのではないかとのことでした.AIRS2013に
続いて,AIRS2014でも日本から多くの投稿があることを期待したいと思いま
す.

(佃洸摂  京都大学 大学院情報学研究科 博士後期課程)

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