会長からのメッセージ

6月20日(土)に開催された総会後の臨時理事会において、会長に選定されました。日本データベース学会には創設時に世話人の一人として参画し、それ以来、研究交流の場として大変お世話になってまいりました。本学会は創設以来、順調な発展を遂げてきました。これまで本学会を支えてこられた歴代会長をはじめ、理事および会員の皆様のご尽力に、心より感謝申し上げます。
本学会の財務は幸いにも健全な状態にあります。この基盤の上に立ち、理事の皆様と議論を重ねながら、未来に向けた有効な投資を進めてまいりたいと考えております。それは単に事業を拡大することにとどまらず、既存事業の見直しも当然含むものです。
DEIMは本会の旗艦イベントとして、これまで特に学生や若手研究者に対して、教育・訓練の貴重な機会を提供してきました。その役割を維持しつつ、今後はさらに、産業界の研究者や技術者にとっても魅力あるプログラムを充実させることが重要であると考えています。今年度からは、DEIMの実行委員長およびプログラム委員長にも理事に加わっていただき、DEIM運営組織と理事会との間で、より直接的な情報共有と連携が図れる体制としました。
論文誌、セミナー、国際連携を含む本学会のその他の事業につきましても、会員へのサービス向上という本来の目的を見据え、副会長・理事の強力な体制のもとで推進してまいります。
さて、ここ数年、AIの急速な発展は社会の広い領域に大きな変革をもたらしつつあります。本学会との関係では、研究分野としての側面と、ツールとしての側面の二つから考える必要があると考えています。第一に、研究分野として見れば、AIは本学会と極めて密接な関係にあります。AIモデルの構築は大量かつ高品質な学習データに依存しており、また巨大なAIモデル自体も、パラメータという膨大なデータの集積として捉えることができます。本学会の皆様は、データ中心のAI研究に対して、データベースや情報マネジメントの観点から、今後も大きく貢献していくことが期待されます。研究が急速に進展する中で、本学会が対象とする研究分野のアイデンティティを守りつつ、柔軟かつしたたかに分野融合を進めていく必要があります。第二に、ツールとしてのAIが、研究の進め方や伝え方に大きな影響を及ぼしつつあることも考慮しなければなりません。AIによる論文執筆や査読が容易になる時代においては、研究の伝え方そのものを改めて問い直す必要が生じます。幸い、本学会ではその影響が大きく顕在化している段階ではありませんが、今から会員の皆様とともに知恵を出し合いながら、望ましい姿を議論していきたいと考えています。
このように変化の激しい時代においては、時代にそぐわないものは速やかに見直し、必要に応じて改め、あるいは廃止し、よりふさわしいものに注力することが重要です。本学会のようにフットワークの軽い組織には、それが可能であると考えています。学会のあり方について、会員の皆様からもぜひ忌憚のないご意見をお寄せください。
2026年7月
日本データベース学会(DBSJ) 第8代会長
大阪成蹊大学,京都大学 名誉教授