学会員メーリングリストアーカイブ (2015年)

[dbjapan] DBSJ Newsletter Vol. 7, No. 7: WebDB Forum 2014, SocInfo 2014, iiWAS 2014


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┃ 日本データベース学会 Newsletter
┃ 2015年2月号 ( Vol. 7, No. 7 )
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暦の上ではまもなく立春.例年にはない大雪など,まだまだ寒さが厳しく体調管
理が難しい毎日ですが,春の訪れが待ち遠しい季節となりました.会員の皆様に
おかれては,益々ご活躍のことと存じます.

本号では,昨年11月に開催された,DB系,Web系における国内唯一の査読付き会
議であるWebDB Forum 2014開催報告,および,国際会議としてSocInfo 2014,
iiWAS 2014への参加報告についてご寄稿いただきました.会議の特徴や最近の潮
流だけでなく,運営側からの工夫や思いなども感じていただける内容となってお
ります.

本号ならびにDBSJ Newsletterに対するご意見あるいは次号以降に期待する内容
についてのご意見がございましたらnews-com [at] dbsj.org までお寄せください.

                                日本データベース学会 電子広報編集委員会

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目次
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1. WebDB Forum 2014 開催報告
    小山聡  北海道大学

2. SocInfo 2014に参加して
    莊司慶行  京都大学

3. iiWAS 2014に参加して
    後藤佑介  岡山大学

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■1■ WebDB Forum 2014 開催報告            小山聡 (北海道大学 准教授)

第7回 Webとデータベースに関するフォーラム 2014
日時:2014年11月19〜20日
場所:芝浦工業大学 豊洲キャンパス
主催:情報処理学会データベースシステム研究会
   日本データベース学会
   電子情報通信学会 データ工学研究専門委員会
協賛企業(プラチナ):株式会社リクルートテクノロジーズ
           Yahoo! JAPAN
    (ゴールド):株式会社 ネクスト
           サイボウズ株式会社
    (シルバー):Bashoジャパン株式会社
           楽天株式会社 楽天技術研究所
           株式会社 サイバーエージェント
           ユーザーローカル
           株式会社日立製作所
           株式会社 東芝
    (ブロンズ):SRA OSS, Inc.
           きざしカンパニー
           デンソーアイティーラボラトリ
           チームラボ株式会社
           ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)
           サイジニア株式会社
           日本アイ・ビー・エム 株式会社

協賛:ACM SIGMOD日本支部
   ARG Webインテリジェンスとインタラクション研究会
   Firebird日本ユーザ会
   日本MySQLユーザ会


【報告者:実行副委員長 北海道大学 小山聡】

2014年度は11月19日から20日にかけて芝浦工業大学・豊洲キャンパスにてWebDB
Forum 2014を開催しました.本フォーラムは,DB系,Web系における国内唯一の
査読付き会議となっていること,また産学連携を軸に据えていることが大きな特
徴であり,今年も以下のような多彩なセッションを実施しました.

・査読を経て採録された26件の研究発表
・採択論文から選ばれた論文賞セッション
・産業界の活動を報告いただく10件の技術報告
・特別セッションI(ビッグデータ基盤技術の最前線)
・特別セッションII(オープンデータの現在と展望)
・特別セッションIII(ウェアラブルにおけるデータ分析の必要性と今後の課題)
・協賛企業,協賛団体による展示
・参加者間の交流と技術討論のためのポスターレセプション

また,今年度の本フォーラムは,同日程・同会場で開催される「第26回コン
ピュータシステム・シンポジウム(ComSys2014)」と同時開催とし,参加者はどち
らの会議の発表も聴講できるようにしました.さらに11月18日(火)には,情報
処理学会データベースシステム研究会(SIG-DBS),システムソフトウェアとオ
ペレーティング・システム研究会(SIG-OS),組込みシステム研究会
(SIG-EMB)の合同研究会を開催しました.

参加者数はWebDBフォーラム分で298名,ComSys分で49名となり,合計で350名近
くの方に参加頂いたWeb,DB,システム研究に関するビッグイベントとなりまし
た.内容的にも,今回ComSysとの同時開催としたことで,ビッグデータ合同パネ
ル(特別セッションI)や合同ポスターレセプション等で,従来のWebDBフォーラ
ムよりも扱われるトピックに広がりが出たと感じております.他のイベントとの
同時開催を行う際には,運営側として種々の調整が必要になりますが,異分野交
流等でそれを上回るメリットもあり,ぜひ今後のWebDBフォーラムにおいても検
討をして頂ければと思います.

WebDBフォーラムの大きな柱である産学連携に関しては,今年も17社に協賛を頂
きました.技術報告セッションや協賛企業の展示・ポスターは,一般発表にも増
して参加者の関心が高かったと感じております.また,セッション中での企業の
方からの質問,コメントや企業賞の受賞は,特に学生にとって自分の研究を産業
界からの視点で評価して頂くことになり,大きな励みになったのではと考えてお
ります.さらに,スポンサーシップにより,本年度も安定した財務運営ができた
ことを,改めて協賛企業の皆様に感謝申し上げたいと思います.

最後にWebDBフォーラムの運営にご尽力いただきました実行委員,プログラム委
員の皆様,同時開催にご協力頂いたOS研,EMB研の関係者の皆様,そして全ての
講演者,参加者の皆様にお礼を申し上げます.特に素晴らしい会場と現地サポー
トをご提供頂いた芝浦工業大学の関係者の皆様に感謝いたします.

(小山聡  北海道大学 大学院情報科学研究科 准教授)

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■2■ SocInfo 2014に参加して         莊司慶行 (京都大学 博士後期課程)

2014年11月10日から13日にスペインで開催されたSocInfo 2014 (The 6th
International Conference on Social Informatics)に参加し,論文発表を行っ
てきました.SocInfoは計算機科学,情報学,社会科学や経営学など多様なト
ピックを扱う学際的な会議で,特に社会科学と計算機科学の融合に力を入れてい
ます.昨年度11月に京都でWebDBフォーラムと併催されていた会議ですが,今年
はスペインのバルセロナでSocInfo単体で開催されました.今年の開催地はバル
セロナ22 [at] と呼ばれる地区で,MediaProというソフトウェア企業のビルの中の
ホールを借りての開催でした.22 [at] は開発モデル地区で,倉庫や工場跡の多い海
沿いの古い街並みの中に鏡張りのアーモンド形のビルや先進的な大学の建物が点
在する,不思議な雰囲気の場所でした.

今年は一般参加者が220名以上,発表論文は28本がFull,23本がShortとして採択
されました.投稿論文数は147本で,採択率は22.5%とそれなりの倍率だったよう
です.投稿段階ではアメリカからが21本,次いで日本から15本,ドイツから12本
と,日本からも多くの投稿があったのですが,採録された結果を見ると,日本か
らの論文は2本しかありませんでした.会議はワークショップを除いてすべてシ
ングルセッションで,参加者は映画館のようなホールに集まってすべての発表を
聞くことができました.

SocInfo2014の会議全体を通して,この会議に関する3つの潮流を感じました.

まず,昨年よりも,さらに社会科学に寄りつつあるように思えました.新制度と
して査読と口答発表はするが論文を会議録に収録しないというオプションが追加
され,論文の公開が一般的ではなかったりプライベートな内容を含む社会科学の
研究の発表がしやすくなりました.また発表賞や論文賞の傾向から,計算機科学
的な手法そのものよりも,それによって得られる社会科学的な知見を重視してい
ると感じました.ベストペーパーも「人は破局するとSNS上での振る舞いがどう
変わるか」を分析するという研究で,特別新しい計算手法を用意したというより
も,クラウドソーシングでラベル付けをして分析の方に注力していました.ほか
にソーシャルメディア上での宗教やジェンダーについての分析や,「犯罪者はSN
S上でスポーツとゴシップの話ばかりする」といったような身も蓋もない分析の
話などがありました.

二点目として,この分野でもビッグデータのハンドリングが極めて重要な課題に
なっていると感じました.キーノートではビッグデータの分析と利用の話が多
く,データのクレンジングや集計手法,実際に何を発見するかの話まで,具体的
な実例を挙げながらの講演がありました.例として,様々なサービスのログから
ユーザを保守派と革新派に分類して「革新派はハードロックが好き」などの傾向
を出す研究の紹介や,ビッグデータ分析においては周期を考えることが重要とい
う指摘がありました.またFacebookの研究者の方による,ミームやデマの伝播の
モデル化の話や,SNS上でのアクティビティの分析の話がありましたが,「素人
の個人が撮った写真は実は0.26%しかシェアされない」という具体的な数値を伴
う指摘や,「アイスバケツチャレンジ」の広がり方,「ワールドカップ時に世界
中の人がブラジル人と友人になった」というトレンドなど,生のデータらしい話
が多く,聞いていて面白かったです.一方でビッグデータを扱う上での注意すべ
き点も指摘されていました.ビッグデータがリッチ化する一方,その解析手法は
占い師の水晶玉と似たモデルで,注目している事象について問うことはできて
も,問いかけようとすら思わなかった意外な発見は難しい,という指摘が興味深
かったです.

三点目として,クラウドソーシングが手段としても研究対象としても注目されて
いると感じました.先程から出てきているように,多くの研究でクラウドソーシ
ングを活用しています.特に大規模なデータへのラベル付けなど,クラウドソー
シングは,ソーシャルメディアやビッグデータから社会科学的な知見を発見する
ための有力なツールになりつつあります.クラウドソーシングで3Dモデルを作成
する手法の提案などもあり,今後ますますこのような研究が活発になることが予
想されます.また何故かよくわからないのですが,ペイフォワード現象(恩送り)
がSocInfoに参加した研究者の中でちょっとしたトレンドになっており,キー
ノートや研究で「クラウドソーシング上でのペイフォワード」という議論が盛ん
でした.

とても幸運なことに私は2年連続で採録され参加しているのですが,参加者数が
去年の倍近くになるなど,この会議は急激に成長しています.前述のとおり,得
られた社会科学的な知見が重視される傾向があるように感じられたので,投稿さ
れる際にはそこを少し意識した切り口で書くと採録されやすいかもしれません.

正式な会議録はSpringerから発行されますが,Unofficial Proceedingsが公式サ
イトのトップからダウンロードできます.
興味のある方はご覧ください.

次回のSocInfo 2015は2015年11月16日から19日,北京での開催予定だそうです.
論文投稿締め切りは2015年8月7日予定です.関連の深い研究をされている方,興
味を持たれた方は投稿をご検討いただくと良いと思います.

(莊司慶行  京都大学 大学院情報学研究科 田中研究室 博士後期課程)

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■3■ iiWAS 2014に参加して            後藤佑介 (岡山大学 准教授)

International Workshop on Information Integration and Web-based
Applications & Services (以下,iiWAS) 2014に参加,発表してきましたので報
告します.

本会議は,2014年12月4日から3日間,ベトナムのハノイで開催されました.会場
は Hanoi University of Science and Technology (HUST)で行われ,会期中も多
くの学生が学んでいました.ハノイでは,原付バイクが道路を埋め尽くすように
通るため,その中を避けて歩くのが大変でした.ただ,物価は安く,美味しいベ
トナム料理店が多いので,非常に魅力的な街でした.

今年のiiWASは,昨年まで併催していたInternational Conference on Advances
in Mobile Computing & Multimedia (MoMM) といったん独立して,The
International Conference on Research and Pratical Issues of Enterprise
Information Systems (CONFENIS),ならびにベトナムで行われている国際会議
The International Symposium on Information and Communication Technology
(SoICT) と共催で行われました.私はこれまで,2008年からMoMMにほぼ毎年参加
してきましたが,今年はMoMMの予定が合わず,iiWASでの発表となりました.た
だ,iiWASにも日頃お世話になっている研究者が多く参加しており,楽しく過ご
すことができました.

iiWASの発表件数は67件で,参加者は100人ほどでした.東南アジアでの開催とい
うことで,ベトナムを中心に多くのアジアの研究者が参加し,活発な議論を行っ
ていました.iiWASのHP内で会期中の記録写真が見られるようになっていますの
で,雰囲気を是非感じて下さい.

iiWASの魅力は,なんといっても [at] WAS PresidentのProf. Ismail Khalilです.
Ismailは常に参加者とフレンドリに接し,ホスピタリティに心を配ってくれま
す.特に,参加者一人ひとりの名前を覚えていて,挨拶の仕方を変えていること
に驚きました(私とは,握手ではなくお辞儀してから会話します).

また,Ismailは本会議の発展を常に考えています.2012年にインドネシア・バリ
島で行われたiiWAS2012で,Ismailと一緒にランチを食べながら,「日本からの
参加者をどうしたら増やせるか」について議論したことがあります.日本人が行
きたい都市について質問があった際にタイ・プーケットを薦めたので,いずれ開
催されるかもしれません.

論文誌へのInvitationを積極的に行ってくれることもiiWASの魅力です.論文誌
投稿に向けてのサポート体制も良いので,学会参加だけでなく論文投稿も是非ご
検討下さい.

次回のiiWAS 2015は再びMoMMとの共催となり,12/10-12の日程で,ベルギー・ブ
リュッセルで開催される予定です.以上,参加報告でした.

(後藤佑介  岡山大学 大学院自然科学研究科 准教授)

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