学会員メーリングリストアーカイブ (2018年)

[dbjapan] DBSJ Newsletter Vol. 11, No. 6: SocInfo 2018, UbiComp/ISWC 2018, CIKM 2018, ACM Multimedia 2018, WebDB Forum 2018, インターンシップ体験記

  • To: dbjapan [at] dbsj.org
  • Subject: [dbjapan] DBSJ Newsletter Vol. 11, No. 6: SocInfo 2018, UbiComp/ISWC 2018, CIKM 2018, ACM Multimedia 2018, WebDB Forum 2018, インターンシップ体験記
  • From: "y.wang" <y.wang [at] yamaguchi-u.ac.jp>
  • Date: Mon, 03 Dec 2018 08:40:35 +0900

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┃ 日本データベース学会 Newsletter
┃ 2018年12月号 ( Vol. 11, No. 6 )
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初冬の候,木枯らしが吹き,寒さが身にしみる季節となりましたが,皆様いかが
お過ごしでしょうか.年末ご多忙の折ではございますが,お体にお気をつけて良
き新年をお迎えください.

さて,本号では, 9月に開催されました,ユビキタスコンピューティング分野の
トップカンファレンス「ACM UbiComp」とウェアラブルコンピューティング分野
のトップカンファレンス「ACM ISWC」をはじめ,情報検索,データベース,ナレ
ッジマネジメントおよびマルチメディア分野での最重要国際会議「ACM CIKM」と
「ACM Multimedia」についてご寄稿いただきました.それぞれの会議の特徴や最
近の傾向,トップカンファレンスへの投稿のメリット,論文採択に至るまでの工
夫など,皆様のご参考になれば幸いです.加えて, 9月に開催されました,DB系
・Web系における国内唯一の査読付き会議である WebDB Forum 2018の開催報告を
ご寄稿いただきました.さらに,インターンシップの体験記についてもご寄稿い
ただきましたので,インターンシップを検討されている学生の皆様の参考になれ
ば幸いです.


本号ならびに DBSJ Newsletterに対するご意見あるいは次号以降に期待する内容
についてのご意見がございましたらnews-com [at] dbsj.orgまでお寄せください.



                                 日本データベース学会 電子広報編集委員会
                        (担当編集委員 王 元元)

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目次
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1. SocInfo 2018 参加報告
    豊島 美穂  首都大学東京

2. ACM UbiComp/ISWC 2018 参加報告
    平木 剛史  東京大学

3. ACM CIKM 2018 参加報告
    山本 岳洋  京都大学

4. ACM Multimedia 2018 参加報告
    Bei Liu  京都大学

5. WebDB Forum 2018 開催報告
    宮崎 純  東京工業大学

6. インターンシップ体験記事:企業が扱うビッグデータに触れて
    稲福 和史  筑波大学

7. インターンシップ体験記事:インターシップで広がった視野
    渡辺 郁弥  筑波大学

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■1■ SocInfo 2018 参加報告          豊島 美穂 (首都大学東京)
                                      
○概要と所感
Social Informatics 2018 (SocInfo 2018)は,ロシア・サンクトペテルブルグ
で今年10回目の開催となりました.

初日は R を用いた可視化のワークショップが開催され,その後の3日間で本会
議が開催されました.本会議はソーシャルデータを使用するという点では共通
していますが,それを応用している分野は非常に多岐にわたっていると感じま
した.私は観光をテーマにしていますが,自分とは異なるテーマを持つ人がお
り,様々な分野の知見に触れる素晴らしい機会でした.例えば,Facebook と
Instagram のデータから広告の多様性や特徴を発見を目指す研究や,ソーシャ
ルメディアへの投稿の状態や会話と精神の健康状態の関係を調べる研究などが
ありました.また,本会議では,多数の国から参加者がおり,日本人の姿もみ
られました.ホームページには実際に発表に使用されたスライドも掲載されて
いますので,ぜひ一度ご覧になってみてください.
(https://socinfo2018.hse.ru)

SocInfo 2019は2019年11月18日から21日,カタールのドーハで開催が決定して
います.

○開催場所
会場はサンクトペテルブルグのメインストリートから少し離れたHigher School
of Economics (HSE)で開催されました.建物内の他の教室では授業が行われて
おり,学生さんたちが活気にあふれている印象を受けました.3 日目の夜は学
会主催のバスツアーとボートトリップが開催され,美しい夜景と夜の観光名所
を巡ることができ,非常にいい思い出になりました.サンクトペテルブルグは,
旧首都であり,美しい景観と建物が魅力的でした.世界三大美術館の一つであ
る「エルミタージュ美術館」も存在します.渡航前のイメージとは異なり,ロ
シア人は皆非常に親切で,とても快適に過ごすことができました.

○投稿論文
「Where Is the Memorable Travel Destinations?」という内容で論文を投稿し,
ショートペーパーで採択されました.旅行ブログを用いることで「印象に残る」
旅行地を機械的に発見する手法を提案致しました.「ユーザ毎のブログに投稿
された写真数の差はその旅行地がユーザにとってどの程度印象に残ったかを示
す」という仮説のもと,対象地域を世界全体とし,分析を行いました.こちら
の論文は,ポスターセッションで発表させていただきました.


(豊島 美穂  首都大学東京 大学院システムデザイン研究科 石川研究室)

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■2■ ACM UbiComp/ISWC 2018 参加報告             平木 剛史 (東京大学)

2018年10月8日から12日にかけて,シンガポールの Suntec Convention Center
にて国際会議 UbiComp/ISWC 2018が開催されました.UbiComp はユビキタスコ
ンピューティング分野,ISWCはウェアラブルコンピューティング分野のトップ
カンファレンスとして,併催の形で行われています.UbiComp については,昨
年の会議から Conference paper の投稿がなくなり,Proceedings of the ACM
on Interactive, Mobile, Wearable and Ubiquitous Technologies (IMWUT)と
いうジャーナルに,会議開催前の 1年間において採録されたものが会議で発表
される形態に変更されました.昨年の会議から本年の会議までの一年間に採択
された論文が207本で,うち186件について口頭発表が行われました.また,デ
モ発表とポスター発表はそれぞれ55件と154件行われました.

これまでの IMWUT 全体での投稿数は 1435本であり,再投稿された論文も含め
た全体での採択率は 27.94%でした.投稿の初回における採択率は 6.33% と低
一方,修正後に再投稿された論文に関する採択率は 70.17%と高く,Major
revisionとなった論文も修正すれば高い確率で採択されることがわかりました.
また,ISWCには 108件(Long 62件,Short 29件,Brief 17件)の投稿があり,
Long paper の採択率は 27%,全体での採択率は 44%でした.会議は1日目につ
いては5つの,2日目と3日目については4つの並列セッションで進行し(うち各
日1セッションはISWC),参加者は745人で,うち日本人は124人でした.

私自身は,Doctoral Colloquium のセッションに参加し,博士課程において取
り組んでいる,映像と連携した群ロボットの投影型制御について口頭発表とポ
スター発表を行いました.セッションには,チェア以外に著名な研究者 3名が
アドバイザーとして参加され,自身の博士課程における研究内容についてフィ
ードバックを頂ける非常に良い機会となりました.また,ポスター発表やその
後の Banquetなどで,幅広いバックグラウンドを持つ国内外の研究者と自身の
研究内容について議論することができ,たいへん有意義でした.

シンガポールは温暖な気候で治安もよく,また会場となったSuntec Convention
Centerは大型のショッピングモールに直結した立地で,過ごしやすい環境でし
た.また,Coffee breakや Banquetにおいては,非常に広いホールでシンガポ
ール由来の料理や菓子などを楽しむことができ,とても快適に会議に参加する
ことができました.

来年に開催されるACM UbiComp/ISWC 2019は9月9日から13日の日程でイギリス,
ロンドンにて開催される予定です.是非とも投稿と参加をご検討ください.


(平木 剛史  東京大学 大学院情報理工学系研究科 苗村研究室)

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■3■ ACM CIKM 2018 参加報告            山本 岳洋 (京都大学)

2018年10月22日から26日にかけてイタリアのトリノで開催されたThe 27th ACM
International Conference on Information and Knowledge Management (CIKM
2018) に参加しました. CIKM は情報検索,データマイニング,データベース
など広範なトピックを扱った主要国際会議で,今年で27回目と歴史ある国際会
議の 1つです.今年の Full paper 投稿数は 862件で(2017年は 855件),採
択率は 17%(2017年は 20%)でした.今年の Best Paper は,情報検索分野で
アクティブに活躍されている清華大学 Yiqun Liu先生らの研究グループによる
「Relevance Estimation with Multiple Information Sources on Search
 Engine Result Pages」です.また,第一著者が学生だったこともあり,今年
は Best Student Paperはなく,この論文が Best Overall Paperとして,Best
Paper と Best Student Paper とのダブル受賞でした.

少し私自身の研究について紹介させていただくと,今回私は主著でFull paper
1件,共著でShort paper 1件の発表を行いました.主著は「T. Yamamoto, Y.
Yamamoto and S. Fujita: Exploring People's Attitudes and Behaviors
Toward Careful Information Seeking in Web Search」で,情報の信憑性や批
判的思考といった観点から,人々のウェブ検索に対する意識と普段のウェブ検
索行動の関係を明らかにすることに取り組んだ研究です.今回CIKMに採択され
た論文は,主著,共著論文どちらもYahoo! JAPAN研究所との共同研究による成
果です.情報検索に限らず様々な分野でそうだと思いますが,大規模なデータ
や実サービスを用いた研究は大学の研究者だけでは困難です.日本では共同研
究や学生の研究インターンなど,大学と企業間の連携が海外と比べて弱い部分
もあるかと思います.今回,企業の方と一緒に課題を解き,それが評価された
ということは私自身としても非常に嬉しい経験でした.

さて,私はCIKMに参加するのは2015年以来だったのですが,そのときから比べ
るといくつか新しい試みがありました.気になった点を以下に要約します.中
には今年からではなく数年前から始まったものもありますがご容赦ください.

CIKM Test of Time Award:
10年以上前のCIKMで発表された論文の中から,研究コミュニティに大きなイン
パクトを与えた論文を称える賞です(2017年にスタート).SIGMODではかなり
古くから,SIGIRやKDDでも数年前から同様の試みが行われています.今年は以
下の2件の論文が選ばれました.
- D. Milne, I.H. Witten. Learning to Link with Wikipedia, CIKM 2008.
- T. Finin, R. Fritzson, D. McKay, R. McEntire. KQML as an Agent
  Communication Language, CIKM 1994.

CIKM Connect:
スポンサー企業のためのセッションで,企業の方がその企業の概要や技術につ
いて発表する場です.CIKM Connect は Workshop dayに開催され私は参加でき
なかったのですが,WebDB Forum で行っているテクノロジーショーケースに近
い場なのではと思います.スポンサー企業と研究者(CIKMのオーガナイザは学
生や若手研究者がターゲットと言っていました)を繋げるこのような仕組みは
非常に良い試みだと思います.

初日が Workshop day,最終日が Tutorial day:
どのような経緯でこの形になったのかは分かりませんでしたが,今年のCIKMは
初日が Workshop day,最終日が Tutorial dayでした.ただし,これは参加者
から不評だったようで,本会議最終日のビジネスミーティングでは,今まで通
り初日をTutorial dayにしてほしいという意見に多くの参加者が賛同していま
した.

発表は会場備え付けのPC(自分のPCは NG):
今年のCIKMは,会場備え付けのPCで発表することが求められました.本会議中
に,発表セッションまでに自分のスライドデータを受付デスクに持って行き,
会場の発表用PCにアップロードしてもらうという形式でした.正直なところ,
これに関するアナウンスが会議直前に来たときは,きっと混乱を招いてあまり
上手くいかないだろうと予想していました.しかし,いざ経験してみると,普
段の会議よりも発表トラブルが少なかったように思います.また,発表用PCは
プレゼン画面に残り時間が自動的に表示される仕様で,こちらも(私自身を含
め)発表者の時間管理に役立っていたように感じました.

最後に,CIKM 2019 は中国の北京で開催されます.また,CIKM 2020 はアイル
ランドの Galway の予定だそうです.是非とも投稿,参加をご検討ください.


(山本 岳洋  京都大学 大学院情報学研究科 助教)

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■4■ ACM Multimedia 2018 参加報告            Bei Liu (京都大学)

The 26th ACM Multimedia Conference (MM 2018) has been held at the Lotte
Hotel in Seoul, Korea from 22-26 October 2018. I was very glad to attend
this top conference and share our work with many experts in multimedia
field. The fall in Seoul is very beautiful.

This year, the conference consists of four main track themes
(understanding, engagement, experience, and systems) with 15 areas. A
total of 757 papers are submit to the main track with 209 papers accepted
(accepted rate: 27.61%, oral: 8.45%, posters: 19.15%). As for Japan, 27
papers are submitted and 10 papers are accepted (first author from Japan).

Five keynotes are made, you can refer to this link for more details:
http://www.acmmm.org/2018/keynotes/.

From my impression of attended sessions, this year more and more
researchers are showing their interests in multi-modality understanding
and interaction between multisensory. Many topics are related to
fashion design, content generation and cross-domain analysis for user
interaction. I am very honored to get the best paper award with our
research of generating poetry from image "Beyond Narrative Description:
Generating Poetry from Images by Multi-Adversarial Training". This is
a joint research of Kyoto University and Microsoft Research. The best
student paper award is given to a research about human parsing
"Understanding Humans in Crowded Scenes: Deep Nested Adversarial
Learning and A New Benchmark for Multi-Human Parsing". The best demo
awards go to "AniDance: Real-Time Dance Motion Synthesize to the Song"
and "Meet AR-bot: Meeting Anywhere, Anytime with Movable Spatial AR
Robot".

Three challenges are held in this year's conference: "content based
video relevance prediction", "half million beauty product image
recognition" and "social media headline prediction".

Next year, ACM Multimedia 2019 will be held in Nice, France. The current
announced date for regular papers submission is 1st April, 2019. Please
submit paper or just attend if you are interested in multimedia or the
place.
Thank you very much!


(Bei Liu  京都大学 大学院情報学研究科 吉川・馬研究室)

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■5■ WebDB Forum 2018 開催報告             宮崎 純 (東京工業大学)

第11回Webとデータベースに関するフォーラム (WebDB Forum 2018)
日時:2018年9月12~14日
場所:東京工業大学 大岡山キャンパス
URL:http://db-event.jpn.org/webdbf2018/

○主催:情報処理学会データベースシステム研究会
	日本データベース学会
	電子情報通信学会データ工学研究専門委員会

○協賛企業:
(プラチナ)ヤフー株式会社
	  チームラボ株式会社
	  フューチャー株式会社
	  株式会社リクルートテクノロジーズ

(ゴールド)株式会社LIFULL
	  楽天株式会社
	  日立製作所
	  株式会社FRONTEO
	  富士通株式会社
	  株式会社東芝
	  株式会社プレイド
	  Google

(シルバー)株式会社メルカリ
	  株式会社サイバーエージェント
	  株式会社GA technologies
	  株式会社カカクコム
	  株式会社ブレインパッド
	  Gunosy
	  グリー株式会社
	  Sansan株式会社
	  日本アイ・ビー・エム(株) 東京基礎研究所

(ブロンズ)株式会社野村総合研究所
	  株式会社ユーザーローカル
	  SRA OSS, Inc. 日本支社
	  国立研究開発法人物質・材料研究機構

○協賛:情報処理学会情報基礎とアクセス技術研究会
	日本MySQLユーザ会
	NPO法人日本PostgreSQLユーザ会
	Firebird日本ユーザ会
	ARG Webインテリジェンスとインタラクション研究会
	ACM SIGMOD日本支部

2018年9月12日~14日に東京工業大学大岡山キャンパスにて開催された WebDB
Forum 2018は,WebDB Forum 自体の目的である産業界と学術界が一体となって
本コミュティを盛り上げることを目指しています.今年度も質の高い研究発表
(62件)や招待講演・特別セッション(5件),ポスター発表(45件/DBSJデー
タチャレンジを含む),ならびに企業展示が行われ,300 名以上の参加者のも
と成功裏に終わりました.今回特筆すべきは,一般の口頭発表において初めて
の試みとなる,学術界からの研究を主とした発表と,協賛企業からの産業界で
の研究開発やサービス事例を主とした発表を統合し,本コミュニティならでは
の研究から応用,実運用までを俯瞰できるセッション構成にした点にあります.
参加者の皆様からは,この新たな試みに対して,非常にポジティブなご意見を
頂きました.

運営面において 300名以上の参加者を収容するための講義室,レセプション会
場も含めて,古い国立大学では使い勝手の良い場所を確保するのが難しく,そ
れ故の運営の難しさ,苦労があり,会場間の移動では参加者にご不便をおかけ
したことが心残りです。

WebDB Forum 2018の特別プログラムとして、以下の招待講演:
・「多様化するサイバー攻撃に対するデータ分析」高倉 弘喜先生(NII)
・「Spatial Trajectory Analytics: Past, Present and Future」
  Xiaofang Zhou先生(クイーンズランド大学)
ならびに特別セッションとして「イジングマシン活用に向けた最新動向」と題
した最近話題となっている最適化問題のための計算機について,構成からミド
ルウェア,グラフ問題への応用について,内山 寛之様 (NTT),湊 雄一郎様 (
MDR 株式会社),河原林 健一先生 (NII) より最新動向から応用面での問題に
至るまで分かりやすくご紹介頂きました.

WebDB Forum の大きな特徴は産学連携にあり,協賛企業の皆様から多大なるご
支援を賜りました.この場をお借りして厚く御礼申し上げます.このような産
学一体の大規模なシンポジウムは国内ではまだまだ少なく,普段聞くことがで
きない企業での研究開発など,学生の皆さんにとっても聴講だけでも参加する
メリットがたくさんあると思います.学生を指導される先生方には,来年以降
もWebDB Forum への学生参加を是非促して頂ければ幸いです.

最後になりましたが,非常にタフな仕事を正確かつ迅速にこなして頂いた Web
DB Forum 2018 実行委員会の皆様,ならびに参加者の皆様に多大なる感謝を申
し上げたいと思います.


(宮崎 純 東京工業大学 情報理工学院 教授)

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■6■ インターンシップ体験記事:企業が扱うビッグデータに触れて
                              稲福 和史 (筑波大学)

私は株式会社リクルートジョブズのインターンシップに参加しました.大学で
はオンラインショッピングサイトの購買情報を対象にした複雑ネットワーク分
析の研究を行っているのですが,インターンシップではアルバイト募集サイト
に出稿されている求人原稿への応募数向上のための原稿改善手法を提案する業
務に携わりました.

インターンシップに参加しようと思ったきっかけは先輩から勧められたからで
す.もともと私自身,大学等にはなかなか提供されないような大量の実データ
を扱いたいと思っており,リクルートが昨年夏に主催した 2週間のハッカソン
型短期インターンシップに参加しました.それが縁でリクルートのオフィスで
より実務に近い課題に取り組むこととなり,今回のインターンシップに参加す
ることになりました.

インターンシップ先ではデータ分析環境としてGoogleが提供する BigQuery を
利用しているのですが,インターンシップで最もゾクゾクしたのは BigQuery
に自分のお金ではできないような大きなクエリを投げたときです.この感覚は
企業のような資金力がある組織でしかできないことで最も「大学や個人ではで
きない経験」であると感じました.

一方,インターンシップでは大量のデータやサービスそのものを理解する必要
があり,非常に大変でした.業務で用いるデータ仕様書は何ページにも渡り,
様々なログが収集されています.求人原稿への応募数向上という目標を達成す
るためには,サービスの性質を理解した上で,目的達成に必要なデータを適切
な形で扱う必要があります.また分析の方針が変われば参照するテーブルも異
なるので,新たにデータ仕様書とにらめっこすることになります.ただ,デー
タへの理解が進むほど手を動かすスピードも早くなり,また異なる角度からの
分析アイデアも浮かぶので,大変だからこそ面白かったともいえます.

インターンシップで印象に残っているのは,企業ではビジネスの現場で運用す
ることを常に意識しながら分析を行っている点です.今回インターンシップで
取り組んだ課題は実際に世の中で動いているサービスの改善提案です.そのた
め最終的には実運用されることを意識して成果物のイメージを作り,分析を設
計する必要がありました.今回のインターンシップの成果物についてはメンタ
ーの方が運用に乗せることを非常に推して頂きました。そのため私が直接関わ
ったデータ分析の社員の方々のみならず,ビジネス職の社員の方々などと意見
交換の場を設けていただくなどの機会があり,企業における実際の業務を肌で
感じることができました.

インターンシップを通して複雑な SQLを書くスキルが最も成長したと感じます.
大学の研究では複雑な処理は SQLでなくプログラムに書かせることが多いので
すが,企業の業務では数百行に及ぶような複雑な SQLを書く必要があります.
それは大量のデータに対する複雑な処理はプログラムに実行させるよりも
BigQueryに投げてしまう方が高速に処理できるからです.そのためインターン
開始当初はひたすら SQLと格闘する日々でしたが,インターンシップを終えた
今では研究においても SQLでできることはなるべく SQLにやらせるというスタ
ンスになりました.

来年インターンシップを受ける方のアドバイスとしては「研究がさき,インタ
ーンがあと」ということです.研究をおろそかにしてしまうことは学生にとっ
てもインターン先にとっても健全ではないと思うので,研究優先を忘れないこ
とは大事だと考えています.今回のインターン先は学業や研究に大変理解があ
り,論文の投稿1ヶ月前はまるまる休み,落ち着いたら1週間まるまるインター
ンをするというように柔軟に対応していただきました.今回のインターンを通
して,実務の場でしかできないこと,大学でしかできないことを肌で感じまし
た.また大学で学んだことが実務につながる,あるいはその逆が幾度もありま
した.両者のバランスを取って,美味しいところを逃さず食べられると,我々
学生にとって大変有益な経験となるのではないでしょうか.ついでに美味しい
ご飯をごちそうしていただくとよりよいかと思います.


(稲福 和史  筑波大学 大学院図書館情報メディア研究科 佐藤研究室)

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■7■ インターンシップ体験記事:インターシップで広がった視野
                                                   渡辺 郁弥 (筑波大学)

今年の夏に私 はNTTデータ先端技術にインターシップに参加しました.DBの導
入支援から製品サポートを担当する部署に配属され,そこでDB構築・試験の自
動化に取り組みました.

私はまだ研究室に配属されてなく具体的な研究などは行っていないのですが,
インターシップを通して実際の現場の様子を肌で感じたいと思っていました.
NTT データ先端技術を知ったのは教授からの紹介がきっかけなのですが,私の
興味分野と会社の事業領域が一致していたのがそこをインターシップ先として
選んだ理由です.私は将来IT企業で働きたいと思っているのですが,SEやSIer
とは何か,IT企業はどんなことをしているのかなど将来を考える上で自分にど
んな選択肢があるのか広く深い知見を得るために NTTデータ先端技術のインタ
ーシップは適切だと思いました.

インターシップではDB構築・試験の自動化に取り組みました.他のインターン
生と分担してPythonとRubyを用いてそれぞれ自動化を試みたのですが,DB構築
のプログラミングは初めてだったので,最初は動きが全く理解できず苦しみま
した.しかしお互い議論し協力しながら1行1行理解し,最終的に仕組みを理
解して機能を実装するプログラムをスラスラ書けるようになった時は達成感だ
けでなく自動化のノウハウを身につけられた喜びを互いに感じることができま
した.

また2人チームで必要な機能要件をヒアリングするということもしたのですが,
自分達には何が必要で,どんなことを聞いたら機能要件を聞き出せるのかとい
う質問を考えるのが大変でした.その経験を通してヒアリングは下準備がとて
も重要だということが分かり,社会に出たらヒアリングをする機会が多いと思
うのでいい経験になったと思います.

インターンシップで特に印象に残っていることはトレーナーの方や事業部の方
がとても優しかったことです.課題に対して私たちが困っていることを丁寧に
教えてくださったり,飲み会や懇親会の場で事業部について優しく教えてくだ
さったり,発表の時も自分の仕事を置いて事業部の多くの方が見に来てくださ
ったりと人の良さにとにかく感動しました.やりたいことを仕事にできても,
人間関係でやりたくなくなってしまうこともあると思うので NTT先端技術は環
境がとてもいいと思いました.

インターンシップの前後で私が一番成長できたと思う点は業界の知識が身につ
き将来を考える上での視野が大きく広がったことです.私はとりあえずIT系の
企業で働きたいと漠然と考えていました.ITといっても業種はたくさんあり,
また情報系の学部で学ぶことはプログラミングやアプリケーション側のことが
多いと感じていたため,私はIT系企業に就職したら何かのサービスを作るとか
データを分析するというイメージを抱いていました.しかしインターンに来て
みるとそのイメージは大きく変化し,アプリケーション側だけでなくシステム
の基盤を支えるインフラエンジニアというものの存在を知りました.また営業
の方や保守運用をするサービスの方など私の知らない多くの役割があると知り
ました.私はインターンシップを通して今まで知らなかったシステム基盤の技
術に興味を持ち,その中でも将来性がありとても面白い領域だと感じたクラウ
ド技術をこれから勉強したいと思うことができました.インターンシップでは
教育機関で学ぶことや経験できないことができるからこそ自分の視野や興味や
可能性を広げることができたという点で成長することができたのではないかと
思います.

来年インターンシップを受ける機会がある方のアドバイスとしては業界のこと
でも会社のことでも積極的に質問をぶつけてたくさんメモを残した方がいいと
思います.インターンシップでは現場の人と話す機会がたくさん設けられてい
るからです.インターン中は1日1日学ぶことだらけです.そのため頭がパンパ
ンになってすぐ忘れてしまうのでメモは必須だと思います.またインターンは
日数が限られているので,あらかじめ何を学びたいかや目標を明確にしていく
と有意義な時間を過ごせると思います.

私の友達の中にはインターンに行かない人が結構います.忙しい方や初めての
経験でやり方がわからずなかなか踏み出せない方など様々いると思いますが,
自分の興味ある業種のインターンには絶対に行った方がいいと思います.将来
やりたいことがあまり決まっていない人は特に,また大体この道に進みたいと
思っている人でもインターンに行くことで必ず大きな収穫を得ることができる
と思うのでどんどん挑戦した方がいいと思います.


(渡辺 郁弥 筑波大学 情報学群)

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