日本データベース学会

概念モデリングに基づくO/Rマッピング手法に関する研究

概要PDF

番号 7
氏名 村上 直
フリガナ ムラカミ タダシ
学位名 博士(工学)
取得大学 筑波大学
学位授与日 2014年3月25日
指導教員名 北川 博之
論文題目(主) 概念モデリングに基づくO/Rマッピング手法に関する研究
論文題目(副) A Study on an O/R Mapping Method based on Conceptual Modeling
論文概要等

■論文概要
オブジェクト関係マッピング(ORM)フレームワークは,データベースの利用が不可欠なアプリケーション(DB アプリケーション)の効率的な設計や開発に貢献する.オブジェクトを定義するクラスとこれを扱う関係テーブルの対応関係に着目すると,ORM フレームワークには以下の二つが要求される.(1)一対一を基本とした単純な対応関係(以下,単純な対応関係)の簡易な実現,(2)単純ではない対応関係(以下,複雑な対応関係)の実現.DB アプリケーションは,小規模なプロトタイプの構築と機能拡張を繰り返す開発方式がとられることが多く,(1)と(2)のサポートの両立が望ましいが,既存のORMフレームワークではこれは容易ではない.

そこで本研究ではORMフレームワークDBPowder を提案する.DBPowderでは,(1)の実現にEER モデルを用い,(2)の実現に有向グラフObjectViewを追加する.提案手法の特徴は,EERモデルとObjectViewの連携により(1)と(2)のサポートを両立し,単純な対応関係から複雑な対応関係に移行する開発を効率的にサポートできる点にある.
本研究では四点の比較評価を実施した.(ア)ORMの記述力,(イ)開発で必要とされる記述量,(ウ)複雑な対応関係を追加する際に必要とされる編集回数や単語数,(エ)性能評価.この結果,本研究で示した提案の妥当性が示された.

■学位を取得して

SE職の経験からDBPowderの元になる簡易なORMツールを着想し初期バージョンを実装したのが2004年,現職の研究所に入りDBPowderを本格的に始動したのが2005年末でした.DEIMの前身DEWS2006にて,当時行われていた査読でacceptされるまでは順調でしたが,国際会議や論文誌にはなかなかacceptされず,苦難が続きました.
何とか業績を上げて筑波大学北川研究室にお世話になったのが2011年.北川研では懇切丁寧なご指導を賜りました.評価実験を徹底的に行うことでどうにか博士論文としてまとまり,2014年3月,学位取得に至りました.北川先生,天笠先生,北川研究室の皆様に深謝いたします.
博士論文にせよ論文誌にせよ国際会議にせよ,何か徹底的に深掘りするテーマを見いだし没頭できたときに,道が拓けたように思います.その感覚を忘れず,今後も精進したいと思います.

公開URI http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/lib/ja/collection/thesis/th-030
アーカイブ