日本データベース学会

系列データの匿名化に関する研究

概要PDF

番号 10
氏名 髙橋 翼
フリガナ タカハシ ツバサ
学位名 博士(工学)
取得大学 筑波大学
学位授与日 2014年3月25日
指導教員名 北川 博之
論文題目(主) 系列データの匿名化に関する研究
論文題目(副) A Study on Data Anonymization for Series Data
論文概要等

■論文概要
近年,パーソナルデータが大量に蓄積され,第三者提供や二次活用による活用が期待されている.特に,パーソナルデータのシーケンスである系列データからは,系列中のパターンや因果関係といった高度な分析を実現できる.しかし,パーソナルデータの第三者提供や二次活用に際しては,プライバシへの配慮が必要となる.

プライバシ保護技術の一つとしてデータ匿名化が知られている.系列データに対する既存の匿名化技術は,蓄積された属性値の系列に対して静的に匿名化を行う技術であり,連続的に蓄積されていくデータを逐次匿名化することができない.また,系列データには個人が特定されずともある属性の値が他の属性群から特定される場合があり.これを回避するために属性値を過度に加工してしまう問題がある.
本研究では,系列データの連続的な利活用をプライバシに配慮しながら実現するために,主に移動軌跡ストリームを対象とした連続的匿名化手法を提案する.また,センシティブ属性間の多様性の保証を,属性値を加工せずに実現する関係多様化を導入し,さらに関係の曖昧性を抑止しながら関係多様化を実現する手法を提案する.
提案手法を用いることで,系列データの提供をプライバシに配慮した形で実現し,特にリアルタイムな移動軌跡の提供や,属性間の関係に多様性 が保証された系列データの提供が,ある一定の精度を維持しつつ匿名性が保証された形で実現される.

■学位を取得して
私は,筑波大学の社会人早期修了プログラムで博士号を取得しました.修士号を取得後,企業のR&D部門に入社しましたが,業務の中でグローバルな研究活動の推進には,研究実行力を向上して一人前の研究者になる必要性を感じました.また,将来指導的な立場になった時に博士号や博士課程での経験を活かせると考えました.このようにキャリアプランの具現化という未来志向で博士号取得に挑戦しました.挑戦を決めてからは,計画的な論文投稿を意識した研究活動に邁進しました.博士課程では,北川博之教授の下でこれまでの研究成果の改善に努め,特に論理的な問題定義についてご指導頂きました.北川博之教授には大変厚いご指導を賜りました.深く御礼申し上げます.また,著名な先生方に博士論文の審査をしていただき,博士号の重みを感じました.これからは,博士号に恥じない研究成果,ソフトウェアを創出し,国際社会に貢献して参ります.

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