設立趣意書
日本には現在,データベースに関して3つの学会活動がある.一つは(社)情報処理学会データベースシステム研究会(以下,DBS研), 二つ目は(社)電子情報通信学会データ工学研究会(以下,DE研),そして三番目はACM SIGMOD Japan Chapter(以下,SIGMOD-J)である. DBS研,DE研,SIGMOD-Jはお互いに連携を図りつつも,それぞれ工夫をこらして独自の研究会活動を行っており,DBS研とDE研が毎年夏に共催している 「夏のデータベースワークショップ」,DBS研が毎年暮れに開催している「DBWeb」,DE研が毎年春に開催している「DEWS」, そしてSIGMOD-Jが開催している「大会」には毎回多数の者が参加している.また,DBS研が情報処理学会情報学基礎研究会(FI研)と共同で刊行している 「情報処理学会論文誌:データベース」は刊行4年目を迎え,さらに,平成15年度以降の科学研究費補助金申請の総合領域情報学の細目に 「メディア情報学・データベース」が立ち上がり,近年の我が国の学界におけるデータベース研究活動は興隆している. 一方,産業界ではデータベース抜きの情報システムの構築は考えられず,近年はデータマイニングなど高度なデータベース応用も 企業活動に必須となっている.
しかしながら,我が国にはこのように高まっているデータベース活動を代表する学会がこれまでなかった. したがって,データベースコミュニティは情報科学・工学分野で多大な影響力のある活動を行っているのに,そのビジビリティに欠け, またその活動の実績を我が国の学術の発展に結び付けてゆく直接の手段を有していないなどの問題点があった.
そこで,我々は「日本データベース学会(The Database Society of Japan)」(以下DBSJ)を設立することとした. ただし,DBSJを創設するにあたって,既存の組織を潰して新しい学会を創るという遣り方はとらない方がよいと考えた. つまり,DBSJの設立は,むしろこれまでのDBS研,DE研,SIGMOD-Jの活動を増強するものでなくてはならない. そのために,DBSJは従来の3本のデータベース活動を集約して,それに独自性を加え,DBSJ論文誌を刊行するなど明確なアイデンティティを有する サイバースペースでのバーチャルなe-学会として機能させることとした.図1にその概念を示す.
DBSJ設立準備会世話人代表
増永良文(お茶の水女子大学)
同世話人(五十音順)
石川博(東京都立大学),上林弥彦(京都大学),北川博之(筑波大学),喜連川優(東京大学),清木康(慶応義塾大学),田中克己(京都大学),西尾章治郎(大阪大学),牧之内顕文(九州大学),横田一正(岡山県立大学),横田治夫(東京工業大学), 吉川正俊(奈良先端科学技術大学院大学)