日本データベース学会

制約つきグラフ探索を実現する異種データベース統合技術に関する研究

概要PDF

番号 1
氏名 鈴木 源吾
フリガナ スズキ ゲンゴ
学位名 博士(工学)
取得大学 電気通信大学
学位授与日 2013年6月30日
指導教員名 鬼塚 真
論文題目(主) 制約つきグラフ探索を実現する異種データベース統合技術に関する研究
論文題目(副) Heterogeneous Database Integration Method for Constrained Graph Search
論文概要等

■論文概要
交通検索・地図検索・SNS検索等でグラフ情報を活用するサービスが,近年多く開発され実用化されている.今後は,情報の表現形式や探索能力に異種性のあるグラフデータベースと既存のデータベースやWebサービスを組み合わせた統合検索が重要になると考えられる.本研究では,異種データベース統合技術をグラフデータ操作に拡張し,グラフ探索とノード・エッジのプロパティに対する制約条件とを組み合わせる,制約つきグラフ探索を可能とする手法を提案する.グラフデータベースを含む複数のデータベーススキーマを統合し,対応関係のメタデータを構築する.検索要求時にそのメタデータを探索し,情報源に対する問合せの組合せを決定する動的な側面と,情報源の能力に応じてグラフ探索を最適化できる点に特長がある.グラフデータベースへの探索の一部を,情報源側に適切にプッシュダウンすることで高速化することが可能である.時間が限定されたサービスが実施されているノードを経由する最短経路問題の一種である,時間制約つき寄り道経路探索に本手法を適用し有効性を示した.交通情報とサービス情報の分散状況・グラフデータベースの探索能力の差異・探索に用いる解法に基づいたグラフ探索操作のプッシュダウン方法を明らかにし,分散グラフデータベース環境における実験で評価し,プッシュダウンが有効になる基本導出法の有効範囲が広いことを示した.

■学位を取得して
若くして学位を取得する方々は,3年から5年程度の期間で集中的に成果をあげ,学位論文とするのが通常であろうが,私の場合,NTT研究所に在籍した,かなり長い期間にまたがる成果をまとめたものになっている.社会人研究者においては,異動による研究の変更や中断が避けられず,一貫した研究を継続することがなかなか難しい.そのような環境で,学位を取得できたことは大変幸運なことで,その理由の1割は,異種情報源を連携して新しい付加価値を生み出すことを一貫して追求した自分の思いであり,残りの9割は,職場での上司・同僚,そして指導教官をはじめとする電気通信大学の皆さまの協力であって,大変感謝している.会社や大学の社会人向け支援制度にもかなり助けられた.今後も同じような境遇の社会人が私に続いてくれることを願っている.

公開URI http://hdl.handle.net/10480/9094000391
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